まるで生き急いでいるかのように、焦燥感にかりたてられながら、主張を繰り返す旦那。さらに、すこしでも自分の思い通りにならないと、すぐに
を目の前にすると、手に負えなくなってしまいますよね。そんな旦那に日々接していると、奥様としては、心身ともに疲れ果ててしまうものです。
その結果、体調を崩してしまった奥様の様子を見て、優しく接してくれるのかと思いきや…、またもや、すぐに怒り始める旦那。「もう、怒るポイントがよくわからない…」とあっけにとられて、目がテンになってしまうこともありますよね。
今回は、自分の思い通りにならないとすぐに怒り始める旦那に疲れ果てて、もう限界に達してしまったときに奥様ができる対応方法の1つを、心理カウンセラー・岩田昌樹がお届けしたいと思います。
テーマは、
です。
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1年ほど前から変わってしまった夫についていけず、悩んでいます。元は穏やかで明るく、機嫌が上下することはほとんどない人でしたが、変わってしまったきっかけが2つありました。
1つめは、夫が40歳になったこと。よくあることですが、節目を迎え、「残りの人生をいかに充実させるか?」という焦燥感が出てきたそうです。(本人談)
きっかけ2つめは、夫の会社の制度変更。営業職の夫は、新卒で現在の会社に入社し、以来ずっと【完全歩合制】で働いてきました。年収が上下することはありましたが、夫なりに努力し、一般的な同年代の会社員よりは多く収入を得ていました。
ところが、その制度が1年前から一変。ほぼ固定給制度に。社員の給与格差をなくすという目的だったため、給与が高かった夫は減収した上に、給与査定のカギを握る上司の顔色伺い残業が増えてしまい、ストレスMAX状態。以降、生き急ぐように、24時間365日、ピリピリと忙しくするようになりました。
・在宅中はほぼずっとイヤホンをつけてスマホでビジネス動画視聴。
・話しかけても返事は「うん」のみ。
・休日は、子どもと私を連れて「新しい場所」へおでかけ。
(行ったことがある場所は、同じ経験しか積めないからダメという謎ルール)
特に私への負担が大きいのは3つ目の休日のお出かけ。近所の公園等は行き尽くしたため、最近は県外まで高速に乗って車で出かけるようになり、早朝~夜遅くまで動き回るので、ヘトヘトになります。
体調を崩して寝込んだ私が、自宅で子守をしながら横になっていたところ、仕事から帰宅した夫に「子守しながら寝るなんて、本気で治す気があるのか!?」と叱られ、目が点になりました。。
以来、私は自宅にいても緊張が取れず、胃腸炎を長い間患っている状態です。。「他人は変えられない、自分が変わらなきゃ」と思い、自己肯定感をあげるワークなど一生懸命取り組んでいますが、正直、心身ともに日々の生活もままならない疲労度なので、私より先に夫に変わってほしいという気持ちでいっぱいです。。
すっかり人が変わって、私の話には耳を貸さぬ夫ですが、変わってもらえる方法はないのでしょうか?
アドバイスいただきたく、お願いします。
【ご相談者様名:pista様】
『pista』さん、ご相談いただきありがとうございます。心理カウンセラーの岩田昌樹と申します。
ご相談文を拝見して一番最初に感じたのは、『pista』さんがご主人と上手にコミュニケーションを取られているのだろうなと、感心したことです。
など、大きく人が変わってしまうほど、ご主人が精神的ショックを受けている中で、ある意味、
ことは、実はすごいことではないでしょうか。「完全歩合制の中、努力して、多く収入を得ていた」ご主人であれば、男のプライドや見栄もあって、弱い部分を出せない方も多いと思うんですよね。
もしかしたら、「旦那に、愚痴を言われているだけですよ…」とおっしゃられるかもしれませんが、愚痴を言える雰囲気を作り出して、じっくりと聞いてあげられていることも、
だと思うんですよね。
さて…
そんなご主人の様子をお伺いしていると
ようにも見えますよね。奥様や子供のことが視界に入らないのか、あるいは見ないようにしているのか。どちらにしても、何かに没頭しているのは間違いないのかもしれません。では、ご主人は何に没頭しているのでしょうか…。
いきなりスピリチュアルな話になってしまいますが、私は、人は生まれたときに、
のかもしれないなと思っています。
成長とともに積み重なっていく「感情」や「記憶」そして「将来の夢」を、ビデオのようにそのまま動画保存しているわけではないんですよね。自分なりの解釈(描き方)で、ぼんやりと
心のアルバムに収納しているのではないでしょうか。
感情や記憶・夢は、時として、言葉にはしづらいものですよね。文章や写真・動画のように、
ともいえます。
そして、人の記憶は、1枚の静止画のようなイメージで保存されていることが多いのではないでしょうか。人生は「動く画」で経験しているはずなのに、記憶は音もなく静止しているように、私は感じているんです。
しかも、記憶・感情・夢はあいまいでもあり、主観的でもあります。客観的「事実」というよりも、自分がなんとなく感じた主観的「真実」でしかありません。
なんですよね。
もしかしたらご主人は、今まさに、白い画用紙に絵を描くことに没頭しているのかもしれません。
今まで、必死になって描いてきた絵を、いきなり会社に取り上げられてしまった。お先真っ暗となり、見失ってしまった自分を取り戻そうとするかのように、まっさらな白い紙を取り出してきて、早く、急いで
と焦りすぎているのかもしれません。
だから「新しい場所」に出かけて「新しい知識」を取り入れることに、がむしゃらになっているのでしょう。新しい感情と記憶を求めて、どんな「絵」を描こうかと、描いては消して、描いては消してを繰り返しているとも言えますよね。なにしろ自分1人だけが、白紙(ふりだし)に戻ってしまったわけですから。
になりますよね。
でも、描いていた紙を会社に取り上げられてしまったら、「私の持っている絵が、すべて白紙になってしまった…」というのも、すこしおかしな話ですよね。本来、
はずだからです。「仕事」はもちろんですが、「家庭」「人間関係」「自分らしさ」「趣味」など、様々な絵を持っているはずですよね。仕事は仕事でも、1枚ではなくて、何枚も絵を描いていていいはずです。
つまり、ご主人は「仕事の1枚の絵」しか持っていなかったということかもしれません。より正確に言うと、「1枚の絵」を仕事だけで実現させようとしていたのかもしれません。
そして、もしかしたら、このまま人生を歩んでいった後に待ち受けているのは、
なのかもしれません。定年を迎えて仕事を終えた後に、人生のアルバムを見返してみると、「絵が何もなくなっていた」ということになりかねませんよね。
定年を迎える20数年も前の「今」、仕事だけの1枚の絵だと、いつか消えてしまったときに
と教えてくれているために、今の出来事(「完全歩合 ⇒ 固定給制度」)が起きたとも言えるのかもしれません。
とすると、今【pista】さんにできることは、新しくて白い画用紙に、仕事ではない
ではないでしょうか。そして、1枚ではなく、何枚も描いていくことです。
pistaさんの心の中に、その家族の絵はすでにあるでしょうか?
あれば素晴らしいと思いますし、なければないでもいいと思います。「絵」というカタチになっている方は、かなり少ないと思いますので。
でも、夫婦・家族の絵は、
ですよね。やっぱり2人、あるいは子供含めて2人以上で描くものです。「今」夫婦2人で絵を描く絶好のタイミングが訪れていると言えるのかもしれませんね。
ただ、いきなり「絵を描きましょう」と言われても、漠然としすぎていて、ご主人の重い腰は動かないかもしれません。
ということですので、今のご主人であれば、
と問答無用に、跳ね除けられてしまいそうですよね。
そこで、私がご提案したいのは、
ことです。「7つの習慣」の第2の習慣【終わりを思い描くことから始める】を、わざわざ持ち出すまでもなく、「終わりの絵を描く」ことから見えてくる「今の絵」は、
「絵」です。保存状態が良ければ、もしかしたら数百年愛される「絵」になるかもしれません。(孫・ひ孫にも受け継がれていく「絵」)
より正確に言うと、エンディングノートを「書く」というよりも、「描く(えがく)」というイメージの方が近いのかもしれません。エンディングノートを書くという行動をすることで、家族の心の中に描かれる「絵」が出来上がっていくんです。
実際、40歳の節目を迎えられて、エンディングノートを書き始めるにはいいタイミングだとも思います。ご主人が生き急いでしまうのは、
ですよね。であれば、まずは先(終わり)を描いてみましょう。
「あなたに、もしものことがあったときのために…今聞いておきたい」という話の流れであれば、普段耳を貸さないご主人も、受けてくれる可能性も高まるのではないでしょうか。
「毎週日曜の午前中1時間だけでもいいから、私たちのために時間をちょうだい」と懇願してみてはいかがでしょうか。
ご主人のためでもあり、もちろん
お互いの考え方を知り、お互いの愛情を知るキッカケでもあります。お子様も含めた家族像を共有する場でもありますよね。
人生を揺り動かす出来事が起こっても「消えていかない(消失しない)絵」とは、
なのだと思います。今でいうクラウド上にデータ保存しているようなものです。1台のパソコンが壊れても、また復元できるんです。1人で描き上げた「絵」は、どんなに完成度が高くても、儚く脆い存在です。
もしかすると、ご主人が今まで描いてきた「絵」は、
絵というよりは「1枚の建築の設計図」のようなものだったのかもしれません。「絵」は、完成度というよりは、感情を映し出すものですよね。人の心を動かす「絵」だけが、何百年も人々の心を魅了する「名画」になっていきます。
技術的なものは進歩して、いつか陳腐化してしまうことが多いですが、心・感情はいつまでも色褪せないものです。時代の雰囲気やトレンド・出来事などには、あまり左右されないものです。つまり、「家族で作り上げた絵」は
になり続けてくれるはずなんです。
そうして、ご主人の心に「家族の絵を描いてもらう」ことで、
などが、すこしずつ変わっていくと私は思いますよ。
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