2021/06/04
2024/04/20
夫と義母(義父)が不仲になってしまったとき。妻として、どうやって冷え切ってしまった2人の関係の仲立ちをしてあげればいいのか、悩んでしまうときがありますよね。
夫側に立ってしまうと、義母(義父)との関係がうまくいかなくなる…。かといって、夫を脇において、義母(義父)側に立てるわけがなく…。
ことも多いのではないでしょうか?
今回は、ご相談者の実例を元に、夫側の気持ちを深掘りさせていただきながら、両者の間を取り持つ方法を、心理カウンセラー・岩田昌樹がお届けしたいと思います。参考になりましたら嬉しく思います。
ご相談者のご主人は長年、母親との関係が良くありませんでした。物理的な距離をおいていた一方で、心理的には強い愛情を求めている状態が、長い間続いていました。
ですが、3年前の結婚を機に、母親との関係性に変化が表れてきました。奥様の存在が大きかったんだと思います。すこしずつ
なっていきました。
奥様が安心感を補填してくれていたからでしょうね。母親へのわだかまりは減り、愛情を求める意識も、次第に薄れていきました。
でも、関係性が崩れてしまうときは、一瞬ですよね。せっかく築いた友好モードが、一変してしまう出来事が起こりました。
ご相談時から半年ぐらい前のことでした。ご主人の会社の事情で、母親にお願いしたいことが出てきました。
迷惑をかけるわけではないから、すんなり受け入れてくれるだろう。そう、たかをくくっていたそうです。
でも、返ってきたのは予想外の答えでした。NOというより、
「取り付く島もない」という印象だったそうです。それは、ご主人には理解不能な理由を並びたてながらの「拒絶」でした。
でも元々、母親にはそういうところがあったそうなんです。冷静に考えると、「拒絶」は予想できたはずでした。ここ最近の友好モードに、「心を許しすぎていた」と当時、ご主人は言っていたそうです。
母親の「拒絶」に衝撃を受けてしまったご主人は、シャットダウンして、物理的な距離をおくようになりました。奥様との会話の中でも、母親の話題を避けるようになりました。
「そんなことはない。」ということは、頭ではわかっていたそうです。でも、理解しがたい「拒絶」を目の前に突きつけられてしまうと、思考だけでは抑えることができない「感情」が、モクモクとわき上がってきたそうです。
突きつけられた分厚い「拒絶の壁」を、乗り越えていく気力がなくなったそうです。「なぜ、自分がそこまでしなきゃいけないんだろう?」と、考えてしまうものですよね。
だから、とにかく距離をとって、ご主人は分厚い壁を築いていくしか方法がなかったんです。
3年前の結婚式の後。
ご主人はそう信じる努力をしたそうです。奥様の手を借りながら、恐る恐る一歩を踏み出すことができたんです。
それまで、母親に愛情を求めていた夫。だから、物理的に距離をとるためには、気づかぬうちに夫が近づいてしまって、傷つかないように、分厚い壁を築いておく必要がありました。
でも、妻という
ができたことで、その分厚い壁をすこしずつハンマーで砕きながら、長い時間をかけて穴をあけ、ようやく外に踏み出すことができたんです。身につけていた武器や鎧も脱いで、前に進み始めることができたんです。
なのに…。突然目の前に現れた巨大な城壁の上から、砲弾が、容赦なく降り注いできた。もう一度、自分が作った壁の中に逃げ帰ることしか、ご主人にはできませんでした。
そう考えることでしか、自分を落ち着かせる方法が見つからなかったそうです。
「もう自分からは、動かない。」ご主人は固く決意しました。
それまでの経緯は、下記のようなイメージだったそうです。
半年前に、崩れてしまったご主人と母親の関係性。
その後はどうなったかというと…。実は、お互いに距離を取りながらも、表面的な話だけはできるようになりました。それは、
ですが、深刻な関係性にはならなかったんです。
深刻にならなかった理由。それは、母親との連絡を、奥様がするようになったからなんです。
母親は、ご主人が距離を置こうとしていることは、わかっている。だけど、どうやって関係を元に戻せばいいのかわからず、戸惑っている。できることは、
そんな心境だったそうです。
一方のご主人はというと、
これ以上傷つきたくないから、連絡も取りたくない。
ですが、2年前に父親を亡くしていることもあり、母親がいつまでも元気かわからないと、心配はしている。もしものことがあったとき、後悔はしたくないという気持ちはあるんです。
冷たくはしたくないけれど…、暖かく接することもできない。相反する気持ちが、交錯している状態でした。
奥様は、もちろん2人に仲良くなってほしい。でも、ご主人と母親の関係性と、母親の理解しがたい拒絶のことも知っているので、無理に、夫に連絡を取るように言うことはありませんでした。
夫にお願いすればするほど、夫は頑なになって、拒み続けることはわかっていたそうです。
そこで、奥様の取った行動は、
と、さりげなく確認するということでした。
押し黙る「ご主人」。
「う~ん…」としか言わない夫の様子をみて、奥様は、それ以上なにも言わずにいました。
1週間後。
また奥様から夫に、ちょっとした確認が。
また、押し黙る夫。
「う~ん…う~ん…」としか言わない夫の様子をみて、奥様は、それ以上はなにも言わずにいたそうです。
その1週間後。
またまた奥様から夫に、相談が。
またまた、押し黙る夫。
「う~ん…う~ん…う~ん…。まぁ~いいんじゃない」最後の言葉に反応して、さりげなく「ありがとう」と、奥様は言ったそうです。
それからは、奥様が、母親と連絡を取るようになりました。
奥様のはからいに渋々応じて、家まで来てもらったり、実家に帰ったりするようになりました。
母の日のプレゼントだったり、母親への郵送物だったり、
夫への確認だけは怠らずに、すべて奥様が手配したそうです。
今の関係性に、ご主人はとても感謝と満足をしているそうです。
奥様が、ご主人を守りながら、お互いのいいバランスをとっている。そう。ちょうどよかったそうです。
母親から突きつけられた「完全拒絶」は、
そう信じ込ませてしまうほどの威力があったそうです。今のご主人には、
と、かわす余裕が少しだけあるけれど、昔のご主人には、そんな余裕がなかったそうです。
「拒絶」の壁からの衝撃を、真正面から全身で受けとめていた。その「拒絶」の衝撃を、奥様が盾となって守ったんです。
あなたのご主人には、守ってもらえる人がいなかったのかもしれません。だから、ただ守ってくれる存在が欲しいのかもしれません。
今回の例は、あくまでそのご相談者の例です。それぞれの事情に応じて、ベストな対応方法は変わってくると思います。
夫と義母の関係が不仲で、間に挟まれている妻はどう仲を取り持てばいいのか?すこしでも参考になればと思い、ブログにさせていただきました。
最後に、奥様がしてくれた行動のまとめを、下記に記させていただきます。